イントロダクション
勝負を賭ける 原作・総監督 富野由悠季  
2005年10月19日

 これから始める作品であるのに『リーンの翼』の映像化は、ぼくにとって、記念碑的印象を感じさせる事件になっている。このタイトルは、ぼくが初めてオリジナル・ノベルスとして書いたものなのだが、映像化される作品はそれではなく、オリジナル作品だからである。それでも『リーンの翼』なのだから凄いのだ。ひどくはない。恐らく、このようなケースもまたとないことだろう。
 この企画が持ち上がったとき、ノベルス版ではなく、あのテーマのままで現代もしくは近未来のもの、という要請があったときには不愉快だった。ノベルスは評価されていないという証拠のような発言だからだ。しかし、企画を立ち上げてくれた若いスタッフたちの意見というものを聞いてみようと思ったのは、自分がそのような年齢になったからだろう。若い世代の意見を咀嚼して、そのうえに自分が提供できるアイデア、演出があるのかもしれないというチャレンジ精神も喚起させた。ガンダムのトミノだぞと偉ぶることはできても、そんな年寄りの自己満足などは犬も食わない。
 その勘がはたらいたのでやってみたら、面白い、の一語に尽きた。なぜなら、まちがいなく自分にはできない切り口、テーマ設定、人物相関図ができあがったのだ。ひとりの創作者の思い込み以上の世界が形を整えつつある創作過程は、面白くないはずがない。
 むろん、まだ、半分も出来上がってはいないのだが、ぼくにとっては、いつも頭がつかえているような息苦しさを感じていたバイストン・ウェルの世界が、ぼくらの住んでいる現在とつながっていくだろうという予感を手にすることができたのだ。これがあって、ノベルス版を再構築するというのも面白い仕事だと想像できるようになった。つまりは、リーンの翼の仕事そのものが、バイストン・ウェル・ワールドであるのだから、これは、観たほうがいい。リーンの翼の輝きとひろがりは、凄いぞ。

リーンの翼

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